静嘉堂文庫美術館(東京・丸の内)の企画展『静嘉堂の国宝・重文・未来の国宝』展のために制作・出品した作品です。

静嘉堂は1892年、岩﨑彌之助(三菱第二代社長)と岩﨑小彌太(三菱第四代社長)の父子二代により設立され、国宝7点、重要文化財84点を含む東洋古美術品を収蔵しています。

静嘉堂文庫美術館は2022年、世田谷区岡本から丸の内の「明治生命館」に移転し、新たなスタートを切りました。

岩崎彌之助は当初より丸の内にミュージアムをつくる構想を抱いていましたが、130年の時を経てその夢が実現したのです。

この「明治生命館」は1934年に竣工し、1997年に重要文化財に指定された、まさに静嘉堂文庫美術館にふさわしい建築です。

本展『静嘉堂の重文・国宝・未来の国宝』は、タイトル通り重文および国宝がテーマですが、会場となる「明治生命館」そのものが重要文化財であること踏まえ、それに因んだ作品の制作を依頼されたのです。

そこで、明治生命館の前身であり、1895年より1930年まで同地に存在した三菱二号館(ジョサイア・コンドル設計)の古写真を元に、異なるパターンの「復元フォトモ」2点を制作しました。

『復元フォトモ・三菱二号館復元1895(明治25)年竣工』

素材 : 顔料インクジェットプリント、スチレンボード
SIZE : h3039mm × w2206mm × 634mm

明治生命館に保存された、三菱二号館の竣工写真を素材に制作した「復元フォトモ」です。

高さ3mの大型作品で、静嘉堂文庫美術館の重厚的なホワイエに設置されました。

丸の内の歴史は1890年、三菱の社長であった岩崎彌之助が「日本が近代国家の道を歩むためには、 ニューヨークやロンドンのようなビジネスセンターをつくる必要がある」という確信のもと開発をスタートしたことから始まりました。

この三菱二号館は当時のお雇い外国人ジョサイア・コンドルにより設計され、明治生命が最初にオフィスを構えた建築でもありました。

そのような近代日本の歴史と権威を象徴する作品として制作しました。

『タイムスリップ復元フォトモ+AI・三菱二号館と丸の内・明治28(1895)年〜令和7(2025年)』

素材 : 顔料インクジェットプリント、ペーパーボード、木製パネル
SIZE : h570mm × w727mm × 727mm

同じ写真を素材とした、もう一つの作品で、明治時代の三菱二号館と、令和の明治生命館(および明治安田ビル)と丸の内の人々を、同一空間に構成したフォトモです。

これは明治時代にそれまで原野だった丸の内一帯を、近代的なオフィス街へと生まれ変わらせた岩崎弥之助が、いつかこの地にミュージアムを建てたいと思い描いた夢が、130年の時を経て実現したことにインスピレーションを得た作品です。

また、2025年の丸の内の人々は、実際の人々の写真の「顔」だけをAIで生成し「誰でもない誰か」として表現しています。